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チベット家具を手に入れるには?

 
 チベット家具で現在、入手可能な家具は以下のとおりになります。これらは、遊牧民に使われていた家具の基本デザインが定住民に広まり、現在に至るまで一般化したチベット家具です。( チベット家具のプロダクト・デザイン参照)
①ローテーブル ②チェスト ③キャビネット  ④読書および読経机
⑤チベット仏教関連(マニ車、供物台、燭台、キャビネット、祈祷台、香炉、その他)

 
 チベット家具を入手するには、いくつかの方法がありますが、それぞれ一長一短です。
 以下、方法を挙げてみますので、それぞれご自分に合う方法をご検討ください。

現地買い付け   難易度 ★★★  信頼度 ★★☆
 この方法は、現地に出向き、直接、現地の家具およびアンティークショップで購入するという方法で、アンティークが好きな方には非常に楽しい方法です。現地に旅行会社などのツアーで行かれる場合、自由時間内で買い物を終えるのは非常に難しいと思われますので、できるだけ時間に余裕をもって旅程を組みましょう。
 まず信頼できるショップの発掘から始まります。残念ながら、観光地にあるショップの中には巧妙に作られたレプリカを本物として高額で売りつける悪質なショップも存在します。レプリカでもOKなら構いませんが、それでも相当、高額な価格が提示されるので注意が必要です。気に入った家具が見つかった場合、ショップにもよりますが、価格は交渉を必要とする場合が多く、梱包・通関手続き書類の書き込み、支払いの手続きに、ほぼ1日かかると想定しておきましょう。
 大型家具を現地で購入した場合、一緒に持ち帰らず、現地から自宅宛に送付した場合、帰国時に別送品申告が必要です。また、家具が日本に到着した後、通関手続きが必要になります。具体的には、到着した港の保税倉庫へ出向き、税関で通関手続きを行います。家具の移動に倉庫からリフトなども扱う必要があるため、キズや破損に注意してください。なお、通関のために、家具を保税倉庫や税関を行き来させるトラック、必要な場合は各種税金、配送スタッフの経費なども必要になるため、家具の購入以外に通関手続きに必要な経費も見込んでおく必要があります。
⇒詳しくは、税関の別送品の項目をご覧ください。

ネットショップで購入   難易度 ★☆☆  信頼度 ★☆☆
 インターネット通販を利用して、オンライン決済もしくは送金後に送付してもらうシステムでの購入です。ショップを持たないチベット・アンティーク家具業者が家具をネットで販売するケースが多いようです。
 価格はメールでの問い合わせのみで画面に明示されていない場合が多く、クレジットカード決済が出来ない場合は、ほとんどが前払い(現金での海外送金)での支払い後、着金が確認されたら送付という流れが原則となります。海外送金は手数料が高く、クレジットカード決済ができない業者は信用の確認が必要かもしれないので注意しましょう。この場合も、現地での買い付けと同様、日本に到着後、大型家具の場合は自分で配送業者を手配して、税関で通関をする必要があるため、購入以外に通関のための経費を用意する必要があります。

展示会などで購入する   難易度 ★★☆  信頼度 ★★☆
 チャンスはそれほど多くありませんが、チベット家具の展示会やアジア家具の展示会でチベットの家具に出会うことが出来ます。イメージにピッタリの家具と出会えればよいですが、モチーフなどの種類の豊富さが自慢のチベット家具を求めるには少し物足りないかもしれません。

中国・アジア家具店で購入する   難易度 ★☆☆  信頼度 ★☆☆
 中国から家具をまとめて日本に入れている業者が多いため、比較的お値打ちに購入できることが多いと思います。ただし、残念ながら、アンティークと偽ったレプリカ、もしくはチベット風中国家具が多く、チベット家具とは呼べない家具が多いのも現実です。家具はご自身との相性ですので、じっくりチベット家具をご覧になってからのご購入をお勧めします。
⇒贋作に関する映像レポートはこちら

チベット専門店で購入する   難易度 ★☆☆  信頼度 ★★
 常設かつ店舗もあるチベット専門店では、東京・西麻布のアートギャラリー・ノルブリンカが、長く家具を扱っています。(古物商免許 株式会社クォルム 東京都公安委員会 301110709263) アートギャラリー・ノルブリンカは、現地にチベット家具専門スタッフ、テンジン・ツェアン(Tenzin Tsewang)との信頼関係を結んでおり、家具のコンソルジュとして、ご購入を希望される方のニーズにあった家具選びをお手伝いしています。

 
 チベット家具を始めとするアンティーク商を営む家に生まれる。テンジンの両親は1963年、中国文化大革命直後にチベットからネパールに亡命。テンジンはネパールで生まれ育つが、ダライ・ラマ14世が最初に亡命政府を樹立した北インド・ムスーリーでチベット人としての高等教育を受ける。
 チベット家具およびアンティークの専門家としてのキャリアは10年以上。近年、チベットの人気の高まりとともに品薄とも言われる中においても、両親から受け継いだ鋭い審美眼と知識、情報ネットワークで、ほかに例を見ないハイ・レベルのチベット家具およびアンティークの入手を可能にする。
 テンジンは、チベット家具を扱う専門家としてこう言う。「すべてのチベット家具には、チベットの歴史とチベット人家族らと過ごした時間が刻まれており、その家具を持つ人に幸せが訪れるように作られている。したがって、それが本物のチベット家具である限り、ひとつとして意味のないチベット家具はない。チベットの文化と宗教、そして人々の暮らしに寄り添って生まれてきた家具を扱うことに、私は無上の喜びを感じるし、同時に、世代から世代へと受け継がれてきた貴重なチベット家具を扱う自分への挑戦や責任も強く感じている。」

 
<年代測定法 ―チベット家具の場合>
 アンティークを扱うときは、その価値と背景を知るために、年代の測定は必ず必要とされています。年代の測定の方法としては、木製家具であれば、「放射性炭素測定法」や使用された木材の年輪から推測する「年輪年代測定法」が挙げられます。
 しかし、チベットでは家具が製造された年代の測定は、あくまでも推測の域を出ないケースが多く、測定メソッドもいまだ確立されていません。というのは、チベットでは一般に新しいものが好まれるため、塗装も上から何度も塗りなおして修復されること、また使用する木材も、チベットの習慣として相当な年数に渡って保存された木や、他の古い家具のパーツが修復に転用されるケースも多く、通常のアンティークや美術品と性質が異なり、科学的な測定法が必ずしも有効ではないケースが多いのが実情です。
 したがって、現状では、年代はほぼ世紀単位でしか判断できず、「細かく絞り込んで言えば17世紀」、「おそらく16-18世紀のあたり」といった程度の推定となります。それでも、その家具が作られた年代を推定する方法が今後、確立される可能性は否定できません。例えば、単純にその家具の使い込まれた状態よりは、家具のつくりと仕上げを見るほうが信頼性は高く、各時代の背景や家具の装飾の特徴から推測が可能です。
 例えば、9-12世紀に作られた家具は、チベットではちょうど家具が大型化した時期で、製造方法もパターンの輪郭を描く際に塗料を使用する、また金箔技術よりも金泥(金箔をすりつぶして細かい粉末にしたものをニカワ液で練った塗料)をより多く使用するなど作業が大幅に合理化されています。その後、中国家具の製造技術もチベット家具に取り入れられ、19-20世紀のチベット家具はかなり充実しており、絵画、陶器、そして織物と同様、スタイルや流行の変化も見られます。
 このように、チベット家具の年代推定方法が科学的な方法以外にも方法があるとすると、将来的な可能性として、その装飾画の書かれた素材、状態、モチーフなどからの推定が可能になるかもしれません。

<レプリカについて>
 近年、チベット人気の高まりと同時に、非常に巧妙に模造された"アンティーク風"チベット家具が数多く出回るようになりました。表面に汚れを加えたり、くすんだ影などを書き加えたり、19世紀以前の絵画技法の要素を取り入れて、素人が一目見ただけでは、それがレプリカであることを判断が出来ないほどの出来栄えのものもあります。また、家具自体が長く使い込まれたように見え、表面も古くなっている状態だけでは、それが本当にアンティークかどうかを見分けるのは困難です。
 しかし、家具表面の塗装のひび割れなどは、ひび割れそのものを模造するのは難しいため、その家具がアンティークか模造品かを見分ける方法のひとつとして有効です。さらに、数多くのチベット家具を見ている経験豊富な専門家の意見は、レプリカの見分けだけでなく、家具が製造・使用された年代に関する適切な判断のために大変参考になります。


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